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幕の間の出来事05:加守田章二
 
科学文明の急進が、世界を狭くし、
色々の文化が入り乱れても、
日本人は、あくまでも日本人である。
自己を見つめる時は、
やはり日本人としての自分を見つめ、
それが、世界の中の自己を見つめることになる。
自分個人の世界の中で、
陶芸を使って日本人の源を発掘することが、
私の仕事である。
自分の外に無限の宇宙を見る様に、
自分の中にも無限の宇宙がある。
この両宇宙への、調和のとれた集注が、
行動力の本質である。
                                 
                            加守田章二 (1971)


加守田章二(1933-1982)は陶芸において、絵や彫刻と変わらぬ個性による創造性を追及し、日本現代陶芸の旗手として期待されながらも49歳という若さで逝去した作家です。
亡くなるまでの約30年間、真摯で意欲的な創作活動を続けて斬新な作品を次々と世に送り出し、1967年には作陶家としては初の高村光太郎賞を受賞しました。
土という素材の根源的な生命感と独創的な造形精神がみなぎる加守田の陶芸は、既存の陶芸の枠組みを超越し、陶器の存在をより普遍的な造形美へと昇華させたものとして賞賛され、今日においてもなお後に続く陶芸家たちに強烈な影響を与え続けています。
また、美術評論家の今泉篤男が加守田章二を紹介する際に「ナイス・ガイ」という言葉を選んだことからも垣間見えるよう、自分に厳しくあった反面、人には温かく思いやりのあった加守田の人柄は作品同様に多くの人々を魅了しました。


朝日新聞社主催の巡回展「20世紀陶芸界の鬼才 加守田章二 展」が現在、岩手県立美術館にて7月17日まで開催中です。その後、岐阜県現代陶芸美術館に巡回予定(2006年7月29日から10月9日まで)。

 
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