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幕の間の出来事10:山口薫
 


"君には君の、僕には僕の夢がある。僕はそれこそ本当なのだと思う。
・・・・・・・
イメージは実在そのものから生れ出すものだ。
作る者は、それを技術でつかむよりほかに道はないのだ。"

山口薫「山口薫 歳月の記録」 用美社 1983


山口薫(1907−1968)は有元利夫が敬愛していた画家の一人です。有元利夫が芸大に出入りしていた頃に山口薫は芸大の教授でしたが、交流があったかどうかは分かりません。ただ、作品と共にそのお人柄に惹かれていたと聞いたことがあります。
山口薫の絵には50年前に描かれたとは思えない新しさがあるように思えます。それは有元利夫も意識していた、覆うこと・わざと描かないこと、に通じているのかもしれません。見る側が埋める部分を残しておいてくれることで、作品はその時々で違う魅力を見せてくれているような気がします。


「山口薫の晩期に近づいた1950年代から60年代にかけて、白や黒やの一色で塗りつぶした何も目鼻立ちの描いてない少女の顔の作品がしきりに出てくる。
・・・・・・(中略)・・・・・・
山口薫にとって、一番大切なことは、言ってはならないこと、明らさまに表してはならないことなのである。」

今泉篤男 "山口薫"「今泉篤男著作集 1 洋画論・現代日本」 求龍堂 1979

 
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